育成就労制度と日本人差別の実態:人口減少を逆手に取るべきではないか
国交省が進める育成就労制度は「日本人と同等以上の報酬」を外国人に保証する仕組みだ。人口減少下の日本で必要なのは移民推進ではなく、日本人雇用や産業縮小の受容だという批判が強まっている。

国土交通省が進める「育成就労制度」では、建設業などで外国人労働者を受け入れる際に「日本人と同等以上の報酬を支払う」ことが義務付けられている。この条文は、SNS上で「完全な日本人差別だ」と強い批判を呼んでいる。制度の狙いと現実の乖離、そして人口減少社会における根本的な疑問を整理する。
「日本人と同等以上の報酬」条項の衝撃
2025 年 6 月 9 日に国交省が公開した資料によれば、建設分野で外国人労働者を受け入れる際、企業は「同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬を支払う」ことが受入基準として明記されている。 さらに昇給や月給制も義務化され、雇用契約内容を外国人が理解できる言語で説明することまで求められている。
一見すれば「外国人労働者を安く使わせないための人権配慮」とも読めるが、SNS 上では「なぜ日本人に対して同じ保証がないのか」「結果的に日本人差別ではないか」という怒りの声が広がっている。
SNS で噴出する不満
X(旧 Twitter)では、次のような批判が相次いでいる。
- 「日本人の失業者 179 万人を先に雇え」
- 「助成金が外国人雇用に出るのは不公平」
- 「現場の教育コストは日本人が負担するだけ」
- 「仲介業者の中抜きばかり儲かる」
- 「治安悪化や社会保障負担が増える」
特に建設業界の労働者からは「同等報酬を保証しても現場がきついから日本人は辞めていく。その穴を外国人で埋めるだけで、何も解決していない」との現実的な声が出ている。
制度の狙いと現場の現実
育成就労制度は、従来の技能実習制度を見直して「人手不足分野で特定技能水準の人材を育成・確保する」ことを目的に設計された。 政府の論理はこうだ。
- 人口減少で建設業の高齢化が深刻 → 外国人労働者を活用
- 外国人を低賃金労働力として扱わないため「同等以上の報酬」を義務化
- 3 年間の就労を通じて「特定技能」レベルの人材に育成
しかし現実には、日本人労働者の待遇改善策は後回しにされ、現場の負担だけが増える構図となっている。教育や安全指導のコストを負担するのはベテラン日本人であり、その努力が「助成金付きで外国人雇用」に吸収されているという批判は根強い。
人口減少社会での根本的な疑問
ここで問われるべきは「人口減少に抗ってまで経済規模を維持すべきか」という点だ。
- 人口が減るならサービスや産業の規模も自然に縮小させればよい。
- コンビニや飲食チェーンは明らかに過剰で、淘汰されても生活インフラは維持できる。
- 中国や韓国も同様に少子化で人口減少に直面しており、日本だけが「縮小=敗北」と考える必要はない。
しかし政府は、GDP や税収の維持、国際競争力の確保を理由に「外国人労働力で規模を維持する」方向へ舵を切っている。これが国民との間で大きな意識のギャップを生んでいるのだ。
まとめ
育成就労制度は「日本人と同等以上の報酬」という条項によって、外国人を低賃金で搾取するのを防ぐと説明されている。しかし現場では、日本人労働者の処遇改善が置き去りにされ、教育コストや不公平感だけが増大している。
人口減少社会において本当に必要なのは「規模維持のための移民受け入れ」ではなく、産業やサービスを縮小前提で設計し直し、日本人の労働環境を改善することではないか。
この制度は、人手不足を解消するどころか、国民の不信感をさらに強める「逆効果の移民政策」と言わざるを得ない。