小泉進次郎を揺さぶる二つの争点 総裁選ステマ疑惑とシャインマスカット供与問題
自民党総裁選で高市早苗氏が党員票で優勢となる一方、小泉進次郎陣営にはネット戦略をめぐるステマ疑惑が浮上。また農水省が推進するシャインマスカット栽培権の海外供与を巡り、山梨県が強く抗議するなど、小泉氏は二正面で試練に直面している。

2025年9月末、小泉進次郎農水相は二つの大きな論争に直面している。ひとつは自民党総裁選でのネット戦略を巡るステマ疑惑。もうひとつは農水省が進めるシャインマスカット栽培権の海外供与計画で、山梨県が真っ向から抗議している。政権中枢を狙う小泉氏にとって、いずれも試練となる動きだ。
自民党総裁選で高市早苗氏が優勢、小泉陣営はステマ疑惑
2025 年 9 月 25 日時点で、自民党総裁選の党員投票が進み、高市早苗前経済安全保障相が党員票で優勢とされる。高市氏は「移民政策の見直し」や「伝統文化の保護」を公約に掲げ、地方票を軸に支持を広げている。10 月 4 日の投開票に向けて、党員票の動向が決定的な要素となる見通しだ。
一方、小泉進次郎陣営にはニコニコ動画を通じた「好意的コメントや拡散依頼」とされる指示が報じられ、ネット上で「ステルスマーケティング(ステマ)疑惑」として大きく拡散している。X 上では「選挙の公正性を損なうのではないか」との批判が高まり、小泉氏の選挙戦略に疑念が集まっている。
小泉氏は従来から発信力を強みとしてきたが、今回の疑惑はその強みが逆に弱点となりかねない。ネット世論をどう扱うかは、党総裁選そのものの透明性を問う問題に直結している。
シャインマスカット栽培権の海外供与と山梨県の反発
同じく 9 月 25 日には、農水省が高級ブドウ品種「シャインマスカット」の栽培権をニュージーランドへ供与する方針を検討していることが報じられた。背景には、日本品種が無断流出し海外で栽培される被害が拡大している現状がある。政府が正式にライセンスを供与することで監視体制を整え、ブランド保護と市場開拓を両立させる狙いだ。
しかし、山梨県の長崎幸太郎知事は「輸出体制が整っていない中でライセンス供与だけ進めれば、生産者が不利益を被る」として、小泉農相に直接抗議。国会内で「まずは国産品の輸出を可能にする環境整備を優先すべき」と強調した。実際、植物検疫などの壁が厚く、日本産の輸出は停滞している。
小泉氏は「産地の理解が得られない状況では海外許諾は進めない」と応じたとされるが、農水省の看板政策が第 1 号案件から頓挫する可能性もある。シャインマスカットは 30 年以上をかけて開発された日本ブランドであり、流出による損失は年間 100 億円規模とも試算される。農業の国際戦略と国内産地の保護の間で、難しいかじ取りが迫られている。
二つの問題が示す小泉進次郎の政治的ジレンマ
小泉進次郎氏は「次世代のリーダー候補」として注目されてきた。環境相時代には国際会議での発言が話題となり、現在は農水相として農政改革を推進している。だが今回の二つの論争は、小泉氏の政治スタイルが持つリスクを鮮明に示している。
総裁選では「ネット世論との距離感」、農業政策では「国際展開と国内保護のバランス」。いずれも小泉氏が強調してきた「発信力」や「グローバル視点」が国内世論との摩擦を生みやすいことを浮き彫りにした。注目を集めやすい一方で、常に賛否を呼ぶ政治家――それがいまの小泉進次郎の姿だ。
まとめ
2025 年 9 月の小泉進次郎氏をめぐる状況は、総裁選のステマ疑惑とシャインマスカット供与問題という二正面で揺れ動いている。高市早苗氏が党員票で優勢とされる中、小泉氏の疑惑が選挙戦の行方を左右する可能性がある。また、農政ではブランド保護と国際戦略の板挟みが続く。いずれも、日本の政治と農業の未来を映し出す試金石となっている。